緩和医療

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緩和医療

終末期医療とは  

進行癌などの完全に治る事のない病気の末期状態や、その他余命の限られている患者さんが、いかに最後まで人間らしく尊厳をもって生活し、その人の生活の質(これをQuality of Lifeの略でQOLと言いますが)、を高めてあげられるかという考えに基づいて行う医療行為全般のことを言います。すなわち終末期医療の目指すところは、通常行われる医療行為のような病気の治療が目的ではなく、その患者に対し、いかに人間らしく人生の最後を迎えさせてあげることが出来るのか、という事が最終目標となってくるのです。

このような終末期医療はなぜ必要なのでしょうか  

今現在、日本国内で病気別の死亡率を見た場合、いわゆる癌で亡くなる方の割合は最も高く、第1位です。これは、世界一長寿国である日本の特長とも言えます。ちなみにアメリカでは癌で亡くなる方の割合は2番目に高く、ここに日本とアメリカの寿命の差が現れているとも言えます。したがって、日本のように年々寿命が延びて高齢化が進んでいる国では、今後、癌で亡くなる割合はますます増加する傾向にあり、そのがん患者への医療のあり方や対応が社会問題になりつつあります。

癌患者への医療にはどのような物があるのでしょうか  

先ほども触れましたように、医療の考え方には2種類あります。一つは疾患を完治させるための医療であり、診断学や治療医学と呼ばれるものです。もう一つには、完治が望めない患者を支えるための医療があり、こちらが終末期医療や、緩和医療、緩和ケアと呼ばれるものです。緩和医療は、治癒が望めずに病気の完治を目的としなくなった患者に対して行われる、積極的かつ全体的な医療です。緩和医療を行うことで出来る限り苦痛を軽減し、人生の最後まで高いQOLを維持させる事でゆっくりと楽に死を迎える事が可能になります。

緩和医療とは実際にどのような事を行うのか  

みなさんご存知の通り、進行した癌は痛みを伴う疾患です。この痛みを癌性疼痛と言い、その人の思考力を欠き、人格を崩壊させ、果ては人間としての尊厳性まで失わせてしまうほど患者にとって最大の苦痛です。緩和医療では、この癌性疼痛を少しでも取り除くことによって、患者の痛みという苦痛を和らげるよう努めていきます。癌患者全体の約70%に、この癌性疼痛が現れます。更にその癌性疼痛の中で、70%が癌自体に起因する痛みであり、残りの30%が癌以外による痛みといわれています。癌以外の痛みの中には、癌の治療により起こる痛み、また癌の進行・衰弱から来る痛み、そして癌とは無関係の痛みなどがあります。

また癌性疼痛を種類別に分けてみると、骨転移などによる体性痛と呼ばれるものや、膵臓癌など、内臓への癌の浸潤に伴う内臓痛と呼ばれるものがあり、これらは長く続く鈍い痛みである事が多いです。また神経叢や交感神経系に絡んだ灼熱感やしめつけ感を伴う神経破壊性の痛みもあります。癌患者の痛みの特徴としては、いつまでも続く強い痛みである事が多く、その痛みは癌病変という身体的な要因から来るものなのですが、患者の心理状態によっては痛みの様子が変わってくるという特徴があります。また2ヵ所以上に痛みが生じる事が多く、鎮痛薬が有効であることが分かっています。緩和医療ではこれらの癌性疼痛を種類別に見極め、適切な対応を取る事で痛みを和らげることが可能です。

痛みの緩和はどの程度まで行っていけば良いものなのでしょうか  

私の行う治療では、主に3段階に分けて疼痛管理を行っています。疼痛管理の第1目標としては『痛みに妨げられることなく、夜は良く眠れるようにする事』です。この目標に到達出来た患者は次の第2目標である『安静時にも痛みがないようにする事』という目標を目指します。そして最終的な目標としては、『体を動かす体動時にも痛みがないようにする事』というところを目指します。
それでは具体的な治療内容について掘り下げてお話したいと思います。
 
癌性疼痛への治療には、痛みそのものに対する治療として対症療法を行います。また、癌病変そのものへの治療を行う事で、痛みの発生原因となる癌を少しでも小さくするという方法もあります。対症療法としては、非麻薬系鎮痛薬・麻薬系鎮痛薬・副腎皮質ホルモン・神経ブロック・理学療法・心理療法などがあります。また、癌病変への治療としましては、化学療法・放射線療法・内分泌療法・外科手術がありますが、一般的に癌性疼痛への治療は、対症療法を中心に行われます。
対症療法の中でも、癌性疼痛の主役はモルヒネに代表される麻薬系鎮痛薬です。麻薬と聞くと、一般的には「命を縮めるのではないか、常習性があるのではないか、頭が混乱してしまうのではないか・・」など、怖い物というイメージがあるようですが、適切に使用する事で非常に有効な鎮痛効果が得られる優れた薬剤なのです。モルヒネの利点として、「患者がどこにいても使用できること」、また、「医師であればその専門分野に関わらず誰でも処方できること」、そして「痛みに対して非常に有効である事」があげられます。更にこのモルヒネを適切、かつ積極的に使用するために、世界保健機構WHOでは、4つの原則を定めています。この原則に則って、実際に経口投与や直腸投与、皮下注射や静脈注射、場合によってはクモ膜下投与や硬膜外投与を行いながら、確実かつ安全に患者の痛みを緩和する事が可能です。
モルヒネも薬ですから、人によっては副作用が出る場合もあります。しかし、先ほど触れたような一般的にモルヒネに持たれている怖いイメージなどが副作用となって現れる事はなく、実際には、悪心・嘔吐・発疹・かゆみ・眠気・妄想・血圧低下・便秘、といった、通常の薬剤と同じ様な副作用が主なものとなります。実際に使用すると、これらの副作用も意外に生じる事が少ないということを経験します。

完治不能な癌におかされた場合、人生の終末期をどこで迎えたいと思いますか?

今現在、完治不能な癌患者に対し緩和医療を行う場所としては、病院・ホスピス・そして自宅の3つがあります。病院では最後の時まで入院という形を取り、患者の状況によっては積極的な癌病変への治療、これは化学療法や放射線療法、手術などを指しますが、そのような治療を行います。一方、ホスピスでは病院と同様入院と言う形態を取りますが、病院と異なる点として、積極的な癌治療は行わずに緩和ケアだけを行う病棟であるということです。最後の自宅ですが、これは在宅医療として医師や看護師が定期的に訪問診療し、患者のケアにあたるケースとなります。基本的に最後まで家族が患者をサポートし、医師や看護師と共に緩和ケアを行う方法です。

在宅医療ではどこまでの緩和医療が可能なのでしょうか  

在宅で終末期を迎えるにあたり、主治医の医者と患者の家族、そして訪問看護ステーションの24時間連携が成り立っている必要があります。これに加えて、万が一病院に搬送が必要になった場合の事も踏まえて、病院との連携も重要になってくる事があります。治療の内容としては、特別な技術がないと行えないという緩和医療では在宅医療は成り立ちません。都会でも田舎の僻地でも、どこでも行える治療が必要です。
癌患者の在宅医療では、まず患者の全身管理を行います。呼吸・脈拍・血圧・体温といった基本的な身体の管理を行いながら、疼痛の管理、栄養管理、またQOLを高めるための医療処置(在宅酸素やIVH、カテーテル管理など)を行います。必要によっては褥創の予防や処置、排便管理も行っていきます。またこれら直接的な医療行為のほかに、患者や家族の精神的ケアや支援、福祉利用サービスの斡旋や家族へのケア指導、看取るための看護などの補助的な役割も訪問看護師やヘルパーを中心に行われていきます。
 
近年、在宅医療が普及してきた中で、様々な問題点も浮き彫りになってきています。今後さらに在宅医療が浸透し、一人でも多くの患者が自分の望む場所で最期の時を迎えるためにはどのような問題解決が必要になってくるのでしょうか。
まず、在宅医療を進めていくために癌性疼痛に対する認識を改めていく必要があります。つまり、「癌性疼痛は仕方のない痛みだ」という概念は完全に追放され、限られた時間の中で積極的かつ有効的に疼痛緩和を行っていく必要があるのです。そのためには、今まで日本では嫌煙されてきたモルヒネを積極的に使用し、モルヒネへの誤解を解消していかなければなりません。また、QOLという概念をしっかりと導入しその向上に努める事で、患者が最期まで人間らしく生きるという目標に到達する事が出来るようになります。つまり、余命が判った時点で、退院を前提とし家族の一員として終末期を迎えることを意識することから始まるのです。
癌患者の痛みには、身体的な痛み意外にも、不安や孤独感といった精神的な痛みや、仕事の悩み、経済的負担、家族への負担といった社会的な痛み、さらに死への恐怖や神への信仰といった、霊的な痛みといわれるものが付いてまわり、これらは一般的な医療処置では対処できない痛みなのです。全てを含めて、全人的な痛み(トータルペイン)と呼びますが、この全人的な痛みを包括的に治療・ケアしていかなければ、本当の疼痛治療にはつながりません。残された課題としては、患者に対しての魂のケア(スピリチュアルケア)を、誰がいつどのように行っていくのかという事があります。文明の利器に囲まれた生活は便利ではありますが、必ずしもそれが患者にとって楽でありQOLの向上につながるとは限りません。この世の中には科学では説明の出来ない現象が沢山あります。終末期医療では、いかに最期の時まで直接患者に関わる事ができるか、という事が最大のポイントではないでしょうか。

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